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コース紹介

​オリンポス山のおすすめ登山コースをいくつか紹介します。

 

火星には基本的に空気はなく(薄い二酸化炭素の大気はあります)、夜の気温は頂上付近で-100℃にもなります(Spiga et al., 2011)。また、場所によっては1-2メートルのダストが堆積していたり(Weller et al., 2014)、溶岩チューブが陥没して10-22メートルの深さの穴があいていたりするところもあります(Bleacher et al., 2007)。そのため、実際に歩くには注意が必要です

 

また、もうひとつ忘れてはならないことは、オリンポス山は将来噴火する可能性があるということです(Morris and Tanaka, 1994)。噴火が引き起こしたものかどうかははっきりしませんが、オリンポス山では数千万年前から数百万年前に形成されたと思われる地表が観測されています(Neukum et al., 2004)。山が30億年以上かけて現在の姿になったことを考えると、数百万年という時間はほんのわずかなものでしかありません。実際、マグマ溜まりの膨張はカルデラ形成後もしばらく続き(Mouginis-Mark, 2018)、地質学的な活動に至っては現在でも続いているという指摘もあります(Basilevsky et al., 2006; Weller et al., 2014)。過去の噴火におけるプロセスにしても、詳しいところはよく分かっていないというのが現状です。

1. 東側ルート(水平距離:290km, 高低差:19.4km)

オリンポス山東側ルート

数値は目安です。Mars Trekで作成。

​オリンポス山は傾斜2-8度の比較的なだらかな山ですが、頂上に行くにはまず初めに、麓にある断崖(Basal Scarp)を越さなくてはなりません。この断崖の傾斜は場所によっては20-40度にもなりますが、東側の図で示した場所では、傾斜が2度程度(De Blasio, 2012)しかなく、他の場所に比べてなだらかになっています。また、東側は西側に比べて、麓の標高が2000メートルほど高くなっているので、頂上までの高低差も西側から登るより小さくなります。

 

ただし、傾斜や高低差が小さいといっても、それはあくまでその場所の平均的な値で、山腹はFlank Terraceや溶岩流によって、局所的に急勾配や大きな高低差ができている可能性があります。そのため、初心者コースだとしても十分注意して登りましょう。

2. 西側ルート(水平距離:430km, 高低差:23.3km)

オリンポス山西側ルート

氷河エリア

​東側ほどではありませんが、西側のBasal Scarpにも比較的なだらかな場所があり、図のルートでは傾斜が約11度(De Blasio, 2012)となっています。西側ルートの醍醐味は、何と言っても氷河地形が見られることです。オリンポス山への登頂だけでなく、氷河が作った地形の上をトレッキングしたいという人におすすめのコースとなっています。ただし、現在の氷河地形には氷が残っている可能性は低いです。

3. お鉢巡り(水平距離:240km, 高低差:1.4km)

オリンポス山お鉢巡り

カルデラの周りを一周(お鉢巡り)するコースです。オリンポス山のカルデラは一周約240 kmで、北側の標高が低くなっています。

もし、カルデラの底に降りるならば、縁からカルデラの底までの標高差は2000-3000メートルになります。

4. オリンポス山一周トレイルランニング(水平距離:1600km, 高低差:5.6km)

オリンポス山一周コース

オリンポス山のBasal Scarp上部を一周するコースです。非常になだらかな距離約1600 kmのコースですが、5000 m以上の高低差を味わうことができ、トレイルランニングや、のんびりとしたトレッキングを楽しみたい人におすすめのコースとなっています(高低差はどこを走るかによって変わります)。砂や岩の堆積物に注意が必要です。

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